2026年7月1日、Microsoft 365 に 「Business Standard with Copilot」 と 「Business Premium with Copilot」 という2つの新SKUが正式に追加されます。これまで Copilot は月額 $30 の追加オプションでしたが、最初から組み込まれた「Copilot同梱プラン」が登場し、しかも価格は $23.50 / $32 とアドオン購入より大幅に割安です。
同時に、既存ユーザー向けには Copilot Business アドオンが $18(プロモ価格、〜2026/12/31) に値下げされ、Business Basic + Copilot Business セットで $21 という新プロモも始まります。
「うちは Basic だけど Copilot 入れて意味ある?」「7月までに Premium に上げた方が得?」——本記事では、Microsoft 公式の発表資料を基に 中小企業の3つの典型ケースで「どの組み合わせを選ぶべきか」 を整理します。
7月から何が変わるのか — 2つの新SKUと既存プランの関係
これまで Microsoft 365 で Copilot を使うには、ベースプラン(Business Basic / Standard / Premium)に Microsoft 365 Copilot($30/ユーザー/月) を追加するのが一般的でした。中小企業にとってこの $30 は高く、「興味はあるが導入は様子見」というケースが多かったのが実情です。
2026年7月1日以降、構造が大きく変わります。
- Microsoft 365 Business Standard with Copilot:$23.50/ユーザー/月(Standard $12.50 + Copilot $11 相当の同梱)
- Microsoft 365 Business Premium with Copilot:$32/ユーザー/月(Premium $22 + Copilot $10 相当の同梱)
これらは プロモではなく永続SKU として提供されます。Microsoft の公式アナウンスでは「AI selling without the friction of promo cycles(プロモサイクルの煩雑さなしでAIを売る)」と明示されており、SMB(300ユーザー以下)市場では Copilot 込みプランが新しい標準になる方向です。
加えて、既存プラン継続派には選択肢が2つ用意されます。
| 形態 | 月額(プロモ後) | 適用条件 | 期間 | |—|—|—|—| | Copilot Business 単体(既存プラン併用) | $18 | Basic/Standard/Premium 保有者 | 〜2026/12/31 | | Basic + Copilot Business 新セット | $21 | 1〜300ユーザー、年契約 | 〜2026/12/31 |
300ユーザー超の組織は対象外で、エンタープライズ向けの Microsoft 365 Copilot($30)または E3/E5 ベースへの移行が必要です。
3つの選択肢の価格と適用条件をフラットに並べる
選択肢が増えると判断が難しくなるので、SMB 向けの選択肢を一覧化します。
| プラン | 月額/ユーザー | 主な含むもの | 向いている企業 | |—|—|—|—| | Business Basic 単独 | $6 | Web版Office、Teams、メール | 〜10名、メール中心 | | Basic + Copilot Business(新セット) | $21 | Basic + Copilot in Office Web | Web版で十分、AI試したい | | Business Standard 単独 | $12.50 | デスクトップ版Office、Teams | 〜30名、Office常用 | | Standard with Copilot(新SKU) | $23.50 | Standard + Copilot 全機能 | デスクトップでAIを業務標準化 | | Business Premium 単独 | $22 | Standard + Intune + 高度セキュリティ | 〜100名、セキュリティ要件あり | | Premium with Copilot(新SKU) | $32 | Premium + Copilot 全機能 | 情シス少人数、ガバナンス重視 |
💡 学び:Copilot 単体の $30 と比べると、Standard with Copilot は $23.50 で同じCopilot機能 + Officeデスクトップ版 が付くため、新規導入なら同梱SKUが圧倒的に有利です。既存ユーザーの「アドオンだけ追加したい」ニーズには $18 プロモが用意されています。
なお、Microsoft 365 のベースプラン自体も2026年7月1日に価格改定が予定されています(参考:Microsoft 365 2026年7月値上げ前にやるべき3つのコスト最適化)。同梱SKUの「お得感」は、ベース値上げを織り込んでも維持される設計です。
ユースケース別の選び方 — 3つの典型パターン
価格表だけでは判断できないので、現場でよくある3パターンに分けて推奨を整理します。
パターンA:10名以下・Basic で十分回っている小規模事業者
現状:Web版 Office と Outlook、Teams 会議で業務が成立している。Excel を重く使うのは経理1名のみ。
推奨:Basic + Copilot Business 新セット($21)
理由は、Web版 Office でも Copilot のメール下書き・議事録要約・チャット質問は十分機能するからです。1日10通のメール返信を Copilot に下書きさせるだけで、1人あたり30〜40分/日が削減できます。10名で月20時間×時給2,500円換算なら 月5万円の人件費削減、ライセンス費 $21×10名×150円 ≒ 月3.2万円なので 約2ヶ月で回収 できます。
⚠️ 注意:Web版 Office には Copilot in Excel の高度関数生成など一部機能制限があります。Excel を日常的に使う部署が複数あるなら次のパターンBへ。
パターンB:30〜80名・既に Standard を契約済み
現状:営業・経理・総務など複数部署で Office デスクトップ版を使っており、Teams も会議の主軸。
推奨:Standard with Copilot 新SKU($23.50)に7月1日から切り替え
既存の Standard ユーザーは更新タイミングで Standard with Copilot を選ぶのが最も合理的です。Copilot Business アドオン($18プロモ)も選べますが、プロモは2026年12月で終了するため、長期的には永続SKUへ移行する判断が必要です。
新規導入で月額差 $11/ユーザーは、50名の組織なら 月8.3万円(年100万円)の追加投資。一方、議事録自動化・メール要約・Word原稿の下書きで部署あたり週5時間削減できれば、5部署×時給3,000円×月20時間で 月30万円の人件費効果。約3〜4ヶ月で回収可能な計算です。
パターンC:50〜200名・情シス1〜2名でセキュリティ要件あり
現状:個人情報や取引先データを扱い、Intune によるデバイス管理と Defender for Business のセキュリティが必須。情シス担当が少人数で、運用負荷を増やせない。
推奨:Premium with Copilot 新SKU($32)
Premium は元々 Intune + 高度セキュリティ込みで、Copilot を載せることで「セキュアな環境でAIアシスタント」が実現します。情シスが1〜2名しかいない中堅企業では、別ベンダーの生成AIを稟議・PoC・セキュリティ評価する工数を考えると、Microsoft 製品ですべて完結する Premium with Copilot は TCO(総保有コスト)で最も安い という判断になりがちです。
100名で月額 $32×150円 ≒ 月48万円のライセンス費は重く見えますが、情シス1名のセキュリティレビュー工数(年100時間以上)と SaaS 統廃合効果(個別AIツール3〜5本の解約)を加味すると、現実的な投資水準です。
移行・契約タイミングで陥りがちな3つの落とし穴
新SKU移行を検討する際、現場で実際に起きやすい問題を3つ挙げておきます。
落とし穴1:6月中に「現行価格でロックイン」しようとしてCopilotを逃す
ベース M365 が7月1日に値上げされる前に駆け込み更新するケースが多いですが、その場合 Copilot 同梱SKUは選べません。「ベース価格のロックイン」と「Copilot 同梱の永続SKU」はトレードオフです。
落とし穴2:プロモ価格を恒久と勘違いする
Copilot Business $18 や Basic + Copilot Business $21 は 2026年12月31日まで のプロモ価格です。2027年1月以降は $21(標準)に戻る前提で予算化する必要があります。
落とし穴3:300ユーザーの壁を超えた瞬間にSKUが消える
Copilot Business は300ユーザーまで。買収・採用拡大で301名になった瞬間、契約の組み直し(Microsoft 365 Copilot $30 へのアップグレード)が発生します。成長企業はあらかじめ E3/E5 + Copilot ルートも視野に入れておくべきです。
ROI試算 — 何ヶ月で回収できるか
3パターンの ROI 試算を簡易化すると以下のとおりです(時給2,500円、為替150円/USD想定)。
| パターン | 規模 | 月額追加コスト | 月間削減効果(試算) | 回収期間 | |—|—|—|—|—| | A: Basic + Copilot Business | 10名 | 約3.2万円 | 約5.0万円(メール・議事録30分/日×10名) | 約2ヶ月 | | B: Standard with Copilot | 50名 | 約8.3万円(差額分) | 約30万円(部署横断で週5h削減) | 約3〜4ヶ月 | | C: Premium with Copilot | 100名 | 約48万円 | 約60万円(人件費+SaaS統廃合+情シス工数) | 約8ヶ月 |
実測ベースの効果ではなく、Microsoft 公式の参考値と複数の導入事例レポートから抽出した「楽観的でない中央値」です。実際は業務内容と Copilot 活用度で大きく変動します。最低3ヶ月のパイロット期間を取り、効果測定の上で本格展開を判断する のがリスクの少ない進め方です。
まとめ — 7月までにやるべきこと
中小企業が今やるべきことは2つだけです。
- 自社が A / B / C のどのパターンに近いか整理する(人数、現行プラン、セキュリティ要件で判断)
- 6月中に Microsoft のパートナーまたはCSP経由で7月切り替えの見積りを取る
Copilot を「便利な追加機能」ではなく 「人件費を直接削減する設備投資」 として捉えると、月3〜8ヶ月で回収できる極めて筋の良い投資です。値上げと同時にAI投資を始められるこのタイミングは、向こう数年で見ても稀な機会です。
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