「増員のたびに追加していたPower Appsのアプリが、ある日から新規契約できなくなっていた」——気づいたときには選択肢が変わっていた、というケースが起き始めています。Microsoftは2026年1月2日付で、Power Appsの「per app(個別アプリ)」プランの新規販売を終了しました。今動いているアプリは止まるのか、次にアプリを増やすときは何を選べばいいのか。契約形態別の影響と、代替プランの選び方を整理します。
何が終わったのか
Microsoft公式のライセンス変更情報によると、Power Appsのper appプランは2026年1月2日をもって新規顧客への販売を終了しました[1]。per appプランは「アプリ単位」で課金できる最小単位のライセンスで、低コストでPower Appsを試したい中小企業に選ばれやすいプランでした。
影響は契約形態によって分かれます[1]。
- CSP(クラウドソリューションプロバイダー)経由の契約:継続購入・利用・更新が可能。中小企業の多くはCSP経由(IT支援会社や販社経由)で契約しているため、既存ユーザーの実務への影響はない
- EA(エンタープライズ契約):同様に継続利用・更新ができる
- MPSA契約:新規販売はなく、契約終了後は60日間の移行期間が設けられる
つまり「今すぐ使えなくなる」わけではありませんが、新規に per app で契約したいユーザーや、MPSA契約でまもなく契約更新を迎えるユーザーは、次の一手を考える必要があります。
代替プランをどう選ぶか
新規顧客がPower Appsを導入する場合、選択肢は実質的に2つです[1][2]。
| プラン | 課金単位 | 向いているケース |
|---|---|---|
| Power Apps Premium(per user) | ユーザーあたり月額、アプリ数無制限 | 1人が複数アプリを使う/今後アプリを増やす予定がある |
| Pay-as-you-go(従量課金) | アクティブ利用ユーザー数に応じた従量課金 | 利用者数の増減が大きい、まず小さく試したい |
Power Apps Premiumの日本向け価格は、Microsoft公式サイトの記載で1ユーザーあたり月額¥2,998(年間払い)、2,000シート以上のボリューム契約では月額¥1,799とされています(2026年10月時点の公式価格表)[2]。per appプランのような「アプリ単位の低価格契約」という選択肢自体が新規では存在しないため、少数アプリ・少数ユーザーの会社ほど、割高に感じやすい設計になっている点に注意が必要です。
自社が取るべき対応3点
- 契約形態を確認する:Microsoft 365管理センターまたは契約書で、自社がCSP/EA/MPSAのどれに該当するか確認する。CSP/EAなら当面の緊急対応は不要
- MPSA契約なら契約終了日を確認する:60日の移行期間は「気づいたら過ぎていた」が起きやすい。契約更新のタイミングを社内カレンダーに登録し、早めにCSPパートナーや情シス担当に相談する
- 増員・追加アプリの予定があるなら先に計算する:per userプランは「1人が何本アプリを使うか」で損益分岐点が変わる。例えば8人が1人1本ずつアプリを使うだけなら、per app的な低価格プランがあった頃と比べてコストが上がりやすい。逆に1人が3〜4本のアプリを使うような使い方なら、per userの方が割安になりやすい。自社の利用実態をまず数えることが先決
💡 学び:per appプランの終了は「値上げ」というより「アプリ単位の低価格入口がなくなった」変化です。少数アプリで試したい段階の会社ほど、Pay-as-you-goで小さく始める選択肢を検討する価値があります。
ハマりどころ
- CSP経由だからと安心して契約形態を確認しないまま放置すると、契約更新時にパートナー側の案内が「Premiumへの切り替え前提」になっていて、比較検討の機会を逃すことがある
- Power Apps Premiumは「アプリ数無制限」が売りだが、実際には1〜2アプリしか使わない部署に全員分のPremiumを契約すると、per appプランの頃より総コストが膨らむケースがある。導入前に利用部署・人数の棚卸しが欠かせない
- 価格は年間払い前提の金額で案内されることが多く、月払いや契約規模によって条件が変わる。見積りは必ず自社の契約条件で個別確認する
まとめ
Power Apps per appプランの終了は、今すぐアプリが止まる話ではありませんが、「次にアプリを増やすとき」「契約を更新するとき」に選択肢が変わっている、という静かな変化です。CSP/EA/MPSAのどれに該当するかを確認し、利用実態(アプリ数×ユーザー数)を数えてから、Premiumか従量課金かを判断する——この順番を守るだけで、必要以上のコスト増を避けられます。
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根拠: [1] Microsoft Licensing News「Important update to Power Apps per app license」(2026-10-05 確認) https://www.microsoft.com/en-us/licensing/news/power-app-per-app-end-of-sale 「Effective January 2, 2026, the Power Apps per app SKU is no longer available for purchase by new customers」 [2] Microsoft Power Apps 価格ページ(日本)(2026-10-05 確認) https://www.microsoft.com/ja-jp/power-platform/products/power-apps/pricing 「¥2,998 ユーザー/月相当、年払い」
