Power Automate Premiumの請求書処理フローやOCR機能、気づかないうちに「AI Builderクレジット」という無償の仕組みに支えられていたとしたら——その前提が、もうすぐ変わります。Microsoftは公式ドキュメントで、Power Automate PremiumなどのプレミアムライセンスにシードされているAI Builderクレジットの新規付与を2026年11月1日で終了すると案内しています[1]。この記事では、何が変わるのかを一次情報から整理し、中小企業が今のうちに確認しておきたい3点をまとめます。
これまでの前提:ライセンスにAI Builderクレジットが「おまけ」で付いていた
AI BuilderはPower AutomateやPower Appsの中でOCR・文書処理・プロンプト実行などのAI機能を使うための仕組みで、利用のたびに「AI Builderクレジット」を消費します[1]。これまではPower Automate PremiumなどのプレミアムライセンスにAI Builderクレジットが自動的に付帯(シード)されており、ライセンス管理者がAI Builder単体の追加コストを意識しなくても、ある程度の範囲でAI機能を試せる状態でした[1]。中小企業が「とりあえずPower Automate Premiumを契約してAI Builderで請求書処理を試す」という始め方ができたのも、このシードクレジットの存在が大きかったと言えます。
発表の中身:2026年11月1日で何が変わるのか
Microsoft Learnの公式ドキュメント「Licensing and AI Builder credits」によると、Power Automate Premiumライセンスには5,000AI Builderクレジットがシードされていますが、既存の「シード」顧客は今後更新する新しいプレミアムライセンスではシードクレジットを受け取れなくなります[1]。既に持っているシードクレジットは契約期間が終わるまでは有効です[1]。また既存顧客は2026年11月1日までMicrosoft 365管理センターでAI Builderクレジットの追加購入・更新ができますが、新規顧客はAI Builder容量アドオンを購入できず、代わりにCopilotクレジットを購入する必要があるとされています[1]。
| 項目 | 2026年11月1日より前 | 2026年11月1日以降 |
|---|---|---|
| Power Automate Premiumのシードクレジット | 新規ライセンス契約時に5,000クレジットが自動付帯[1] | 新しく契約・更新したライセンスには付帯されない[1] |
| 既存のシードクレジット | 利用可能 | 契約期間終了まではそのまま利用可能[1] |
| AI Builder容量アドオンの追加購入 | 既存顧客は購入・更新可能[1] | 既存顧客も購入不可、新規顧客はそもそも不可[1] |
| 容量不足時の代替 | — | Copilotクレジットの購入が必要[1] |
なお、この変更はAI Builder機能そのものの終了ではなく、ライセンスにクレジットが「無償で付いてくる」仕組みが終わるという整理です(要検証:今後の製品方針変更の可能性は残るため)。
中小企業が今から確認すべき3つのこと
このタイミングで一度、自社のAI Builder利用状況を点検しておくと、11月以降に機能が止まって慌てることを避けられます。
- 現在のクレジット消費状況を確認する:Power Platform管理センターの「ライセンス」>「容量アドオン」>「概要」タブで、割り当て済み・消費済みのAI Builderクレジット数を確認する[1]。請求書処理やOCRなど、AI Builderアクションをどのフローで使っているかを棚卸しする。
- 契約更新のタイミングを把握する:自社のPower Automate Premiumライセンスの契約更新日が11月1日の前か後かを確認する。更新が11月1日以降になる場合、次回更新分からシードクレジットが付かない可能性がある[1]。
- 容量不足時の対応方針を決めておく:クレジットが消費量を下回ると「オーバーレッジ」状態になり、Copilotクレジットで補われるか、それがなければAI Builderアクションがブロックされる(
EntitlementNotAvailable/QuotaExceededエラー)[1]。Copilotクレジットの追加購入が必要になるか、販売代理店・Microsoft担当者に確認しておく。
⚠ 注意:オーバーレッジ自体は課金されない「猶予期間」ですが、Copilotクレジットの残高がなければAI Builderアクションがそのまま止まります[1]。「来月から請求書処理が動かない」という事態を避けるため、消費量の確認は契約更新前に済ませておくべきです。
ハマりどころ・落とし穴
- 「クレジットがなくなる」と「AI Builderが使えなくなる」は別の話:シードクレジットの新規付与が終わるだけで、AI Builder機能自体がなくなるわけではありません[1]。Copilotクレジットでの利用は継続できます。
- 未割り当てクレジットとの区別を忘れない:AI Builderクレジットには「環境に割り当て済み」と「テナント全体で未割り当て」の2種類があり、環境に割り当て済みのクレジットを使い切ると、テナント全体のクレジットが残っていても自動で切り替わりません[1]。フロー単位での割り当て状況も確認が必要です。
- 新規契約と既存契約で条件が異なる:既存のシード顧客向けの救済(契約期間終了までの継続利用)は、新規にPower Automate Premiumを契約する企業には適用されません[1]。これから導入を検討している企業は、見積もり段階でAI Builder分のコストを別途見込む必要があります。
💡 学び:ライセンスにおまけで付いてくる無償枠は、いずれ縮小・終了する前提で設計を考えておくと、こうした変更に振られにくくなります。AI Builderクレジットの消費を最初から可視化しておけば、今回のような変更にも落ち着いて対応できます。
対応した場合・しなかった場合
早めに消費状況と契約更新日を確認しておけば、Copilotクレジットの予算化や契約交渉を余裕を持って進められます。一方、何も確認せずに11月を迎えると、契約更新のタイミングでシードクレジットが付かなくなっていることに気づかず、請求書処理などの既存フローが突然オーバーレッジに陥るリスクがあります。発表からの日数が短いため、情シス専任者がいない中小企業ほど見落としやすい変更です。
まとめ
AI Builderの無償クレジットが2026年11月1日で終了するというのは、Power Automateを使った業務自動化のコスト構造そのものに影響する変更です。今すぐ契約を変える必要はありませんが、Power Platform管理センターでの消費状況の確認と、契約更新日の把握だけは早めに済ませておくことをおすすめします。
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根拠: [1] Microsoft Learn「Licensing and AI Builder credits」(確認日2026-10-21、ms.date/updated_at: 2026-10-08〜09を確認)「Existing ‘seeded’ customers won’t receive seeded AI Builder credits with future premium licenses. Existing seeded AI Builder credits will be honored through the end of the contract term.」「Seeded credits will be removed on November 1, 2026.」 https://learn.microsoft.com/en-us/ai-builder/credit-management
